損切で終わった・・・悲しい。ストレス溜まる。利食いで終わった・・・めちゃくちゃ嬉しい・・・
儲かったから自分には実力があるんだ・・・損で終わったから自分は駄目なんだ・・・
株やFXの売買をやっていると、こういう感情は自然発生します。
<本日の記事を読む利益>
・相場そのものへの理解が深まります
・不確実性の高い相場で大失敗しにくい考え方を紹介します
・人間が陥りやすい罠を解説します。
<本編ここから>
相場師やってると、損と利益が両方出ますから、利益で終わるとチヤホヤされ、損で終わるとお通夜のようになります。
相場に限った話ではないですが、世界は
不確実
です。
明日、大地震が来るかもしれませんし、カリスマと呼ばれる名経営者が逮捕されるかもしれません。支持線が機能するかもしれませんし、支持線が仕事しないかもしれません。グランビルが仕事するかもしれませんし、しないかもしれません。
相場師として経験の浅い時期は、
相場の世界が不確実(リスク)であるという事が、腑に落ちてない段階なので
なんとか、損を減らしたい、という思いが強いように思います。
人間という生き物は「確率的に考えるのが苦手」です
今日の記事は「人間の認知バイアス」を書きます。
一般的に多いのが、「結果論バイアス」
結果が出たから正しいのだ、結果が駄目だから、あの社員は駄目なんだ、、、という「思い込み」
つまり、偶然が味方して出せる結果もあるし、実力はあるのに、偶然に味方してもらえずに結果を出せない人もいるわけです。(結果そのものに偶然の要素を考慮に入れてない) ←思い込みたるゆえん
<以下、歴史の話>
今川義元という人が日本の戦国時代に居ます。有名な桶狭間の戦いで織田信長の奇襲に破れた「無能な大名」という扱いを受けているように思います。
戦場で酒宴を開いて、どんちゃん騒ぎをしている所を天才・信長に討ち取られた「おめでたい殿様」という後世の評価・演出なのですが、これは「結果論バイアス」だと思います。
実際、今川義元という人物は「海道一の弓取り」と呼ばれ、武田信玄や北条氏康から一目置かれ、武田北条と対等な同盟を結んでいます。明らかに実力者です。実際、桶狭間合戦では豪雨が偶然降って、視界不明瞭になった、という話ですし、偶然が味方せず、豪雨が降らなかったら、同じ結果になりましたか? という話です。
例えばですが、桶狭間合戦を10回やっていたら、残り9回は今川義元が勝っていた、と思うのです。(兵力差を考えると、妥当な勝率だと思います)
たまたま、1回のサイコロの目(白星)が1番最初に来た。それも豪雨の力で。というのが私の桶狭間合戦の認識です。
このように、合戦というのも「偶然の作用」はどうしても受けていて
勝った織田信長=天才
負けた今川義元=戦場で宴会おっ始める「おめでたい公家大名」
こういう後世の演出が出来上がっている気がします。(結果がすべて、という思い込み)
もう1つ紹介したいのが、「因果論バイアス」。
AならばBである、BならばCで、CであるならばDである、という、納得しやすい論理展開。
原因があり、結果がある。この流れを見せられると、「あぁ、なるほどな・・・」と納得してしまうのですが、
実際は原因と結果の間には「偶然」があるわけです。
「結果論」も「因果論」も、「偶然」を考慮していない ってのが問題です。
で、相場師は確率的に考えるってのが出来ない時期があって、偶然の要素を排除したい、という気持ちが強くなる時期があります。それで、テクニカルを猛勉強するわけです。
でも相場はどこまで行っても「不確実(リスク)」であり、抵抗線が仕事して戻り売りが成功することもあります。偶然、抵抗線を上に抜けて、資金を持っていかれることもあります。
それは「結果論バイアス」か「因果論バイアス」に陥ってると、「自分の使ってるテクニカルが問題なんじゃないかな~」とテクニカルそのものを疑い始めます。
実は偶然の力で利食った売買もありますし、実力不足で損切った売買もあります。
前述したように、人間の認識には「偏り」があり、結果論も因果論も「偶然」を無視しています。
勝負事に100%は無く、不確実性を下げる事しかできません。
どんな天才、どんなカリスマも、「不確実性」の支配下に置かれます。そして人間は天才といえども、偶然は支配できません。ゆえに
名将と呼ばれる戦国武将は、強い大名との決戦は避け、勝てる相手と合戦して領土を広げます(勝ち易きに勝つ)
桶狭間合戦で多分、織田信長はチヤホヤされたと思います。織田信長は多分、「桶狭間は偶然の勝利」と確信していたと思います。織田信長の長所は、桶狭間以降の合戦は、合戦相手の3倍の兵数を用意してから始める、という
不確実性をとことん下げたい
という所にあるように思います(勝つべくして勝つ)。偶然に頼った勝利は二度とヤダ!と思ったんでしょう。
この傾向、不確実性はとことん下げたい、という傾向は武田信玄や北条氏康にも見えます。名将だと思います。信長の後継となる豊臣秀吉ですが、織田信長の大量の兵数で包囲する、という手口はコピーしていて、大量の兵数で包囲後、なるべく良い条件を出して、開城を迫る、という独自のアレンジを加えています。(秀吉もやはり名将です)
戦国時代の合戦も株や外国為替(FX)の売買も、「偶然・不確実の影響」は絶対に受けます。私の体験談ですが、ヤマトホールディングス(9064)を買いでHoldして含み益が出てたタイミングで、格付け会社からダウングレード食らった経験があります。(相場は何でも起こりえます)
極論になってしまいますが、サイコロ振って、奇数が出たら新規買い、偶数が出たら空売りという売買ルールを作ったとします。で、ゴールデンクロスが発生して、上昇トレンド出現後の下値支持線タッチで、サイコロ振って奇数が出て、新規買い → 利食いで終わる
こういう事だって有るわけです。(偶然が味方すれば、サイコロでも稼げる)
自分が稼げないのは、「テクニカルが悪いのかな~」とか「手法が駄目なんじゃね?」という認識は「偶然の要素」を無視すると発生する「疑い」です。
相場というのは、とことん不確実で、実力がなくても偶然が味方すれば儲かってしまう部分があります(まぐれ、ビギナーズラック)
さて、そういう不確実な相場の世界で、どうやって生き残っていくのか、どうやって稼いでいくのは次回の記事にしようと思います。(今回の記事が長くなってきたので)
結論)
・人間の認識には「偏り」があり、「バイアス」と呼ばれる
・結果がすべて ←偶然を無視した「神話」
・因果論 ←原因と結果の間には「偶然」がある
・世界はどこまで行っても不確実(リスク)
・明日、大地震が来るかも、北朝鮮がロケットを撃つかも、いま握ってる銘柄を格付け会社がダウングレードするかも
・サイコロ売買でも偶然が味方すれば稼がせてもらえる
・名将は不確実性をとことん下げようとする(合戦も、株の売買も同じ)